『世界がぐっと近くなるSDGsとボクらをつなぐ本』を読んで

『世界がぐっと近くなるSDGsとボクらをつなぐ本』を読んで

みんな大好き!池上彰さんの監修です

2022/9/11

サステナビリティ、SDGs、エシカル、パーパス、サーキュラーエコノミー、カーボンニュートラルetc、昨今いろいろな言葉が飛び交うようになりました。 もちろん、純粋な思いから地球の未来、そして地球上に存在するすべての生き物の未来を思っている人、企業もあれば、お金儲けのための道具としてこれらの言葉を都合よく使っている人、企業がいるのも現実です。
そんな現実に触れ、「そもそもSDGsやサスティナブルってどんなものだっけ?」という疑問を持ち、手にしたのがこの本『世界がぐっと近くなるSDGsとボクらをつなぐ本』でした。 今回は、この本の読後感を綴っていきたいと思います。
全体的な印象としては、「世界がぐっと近くなる」というタイトルの言葉を体現していると思います。すべての漢字にルビがふられていて、いらすとや漫画を多用することで、子ども=ボクらにも伝わる、理解できるという意図もことができました。
でも、分かりやすい構造にすることで、かえって誤解を招いたり、わかったような気にさせてしまったりするのではないかと大きな疑問を感じました。 特にSDGsの17の目標開設のためにつけられている漫画。世界で起きていることを自分ごとに引き寄せて考えるきっかけという位置づけでつけたものでしょう。担当編集さんの意図はよく理解できます。でもあまりに低レベルな内容なので、世界で今起きていることを子どもたちに想起させるきっかけになり得ることはないでしょう。 逆に「なーんだ、SDGsって大騒ぎをしているけれど、この程度のことだったんだ」と間違った方向に子どもたちを誘導しかねない内容になっていると危惧しました。
それだけでは、ありません。
本のタイトルには「ボクら」と掲げていることです。 「ボクら」とは一般的に男の子が自分を含め、その他大勢を指すときに使う言葉とされています(その定義自体もジェンダーの問題に抵触すると思いますが)。 そしてSDGsの5番目の目標は「ジェンダーの平等」です。 そんなSDGsに関する本のタイトルに「ボクら」という言葉を大々的に謳うのは、いかがなものかと思ってしまうのです。 私が担当編集者だったら『世界がぐっと近くなるSDGsとボクらをつなぐ本』ではなく『世界がぐっと近くなるSDGsとみんなをつなぐ本』とタイトルを変えていたでしょう。
さらに言うと、本の中で池上さんらしき人物(イラストなので、あくまで「らしき」です)とやり取りをして、一歩踏み込んだ解説をするコーナーに登場する子どもは男性のほうが多いし、「ボクらにもできるSDGs」というコーナーのTOPイラストは一貫して、男児です。これもジェンダーの観点が抜け落ちています。たしかに製作費はあがってしまいますが、男児ver、女児ver2つのタイプのイラストを作れば解決する問題です。
子どもにも分かりやすく、SDGsを身近に感じてほしいという思いには、とても賛同します。 なぜなら、私が仕事でサステナビリティやSDGsにかかわっているからこそ、なおさら教育こそ未来を変える力を持っていると確信しているからです。 だから、そんな素敵な力を持ちうる本書で上記のようなことはしてほしくなかったです。
よって、私はSDGsを知るための本として、本書をみなさんにおススメすることはできないと判断しました。
私はもともと本好きで 、仕事関係にかかわらず本を読むのが好きなので、読み終えた本についても「Medy」で書いていきたいと思います。 よろしくお願いします。

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